伝統を継承する新しいワイナリー、ドメーヌ・スリエ

ドメーヌ・スリエは2019年に創業、塩尻市広丘郷原(ごうばら)にワイナリーとベーカリー・ショップを併設する新世代のワイナリーである。その出発点は、本格ワインのためのブドウ栽培の継承にあった。
    

郷原は、奈良井川の河岸段丘の中段に位置し、古くは洗馬宿から松本城下へと至る善光寺街道の宿場町として栄えた。現在も本棟造り建築の美しい町並みが残る。

塩尻での本格ワイン造りは、桔梗ヶ原でのメルロ種ブドウの栽培に始まり、その外縁となる洗馬中原から郷原へと圃場は広がっていった。郷原で栽培されたブドウは老舗のワイナリーに納められ、良質のワインが醸造された。その中には航空会社のファーストクラスで提供されるものもあった。

しかし、栽培農家の高齢化や後継者不足によって、メルロ栽培が続けられない圃場がでてきた。

地域で建設・飲食業を営む塩尻建友は、人々が開拓し守り育ててきた農地を守り、ワイン銘醸地の伝統をつないでいくために、塩尻ファームを設立して2013年からブドウ栽培を引き継いだ。

    


2025年3月、ドメーヌ・スリエのワイナリーを訪ね、ワインポートフォリオ(商品展開)についてお話しをうかがった。

    

ルヴィーブル

「ルヴィーブル」はフランス語で復活を意味しています。ワイン用ブドウ栽培を引き継いだり、耕作が続けられなくなった農地をブドウ畑として復活して、地域とお客さまに役立ちたいという想いがあります。

ルヴィーブル・プルミエ・シリーズ

最上級を意味する「プルミエ」を冠したシリーズです。メルロを中心として塩尻の本格ワインの伝統を引き継いでいます。

ドメーヌ・スリエは新しいワイナリーですが、特区の酒造免許ではなく年間6,000リットル以上醸造の一般免許を持ち、大手でも個人経営でもできないワイン造りを目指しています。引き継いだ農地はばらばらなのですが、採れるブドウにはそれぞれ特徴があり、圃場ごとに一つのワインとして醸造しています。

さらに、樽熟成とノンバリックとを分けて、樽も塩尻ミズナラ樽のものは分けて、5種類を造っています。畑の違いや熟成の違いを楽しんでほしいのです。エチケット(ラベル)は、最上級を意識して黒に、シンプルに金色のローマ数字でⅠからⅤを打ち出しています。

価格帯は四千円以上になりますが、特徴があるワインなので、好きになる人はめちゃ好きになるようです。イベント等では全種類を飲み比べて気に入ったのを購入するような、玄人(くろうと)のお客さんが多いです。

ルヴィーブル・テーブルワイン

塩尻のもう一つの伝統は、メルローよりももっと歴史があり、生食のブドウや果汁としても愛されてきた、コンコードとナイアガラです。

コンコードは塩尻ファームが栽培しています。ナイアガラについては、農家の方が栽培したブドウを仕入れています。そのいずれにしても、塩尻伝統の品種を守り、地元の人に楽しんでほしいという想いがあります。

ふだんから飲めるテーブルワインという位置づけで、スクリューキャップにして、価格帯も千円台にしています。これまでは馴染みがなかったけれども、これからワインを飲む人にもやさしい感じにしたいです。

現代のワインですので、ナイアガラでも辛口を目指しています。昔、塩尻ではワインをお猪口(ちょこ)で飲んでいたそうです。

ルヴィーブル・シリーズ

プルミエとテーブルワインの中間にあたるのが、スタンダードの「ルヴィーブル」シリーズになります。

価格帯は二千円から三千円台ぐらいになり、テーブルワインには少し高いけれども、ワイン好きの人がふだん飲めるような感じになります。コルク栓です。

赤の品種については、やはり日本の伝統を大切にしていきたいので、マスカット・ベリーAとブラック・クイーンをていねいに栽培し、醸造しています。GI長野認定のマスカット・ベリーAは、女性のワインプロが選ぶ審査会「サクラアワード」で金賞の評価をいただきました。

白では、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングなどを造っています。

将来の広がり

2019年のワイナリー設立にあたって、ドメーヌ・スリエの栽培・醸造担当者はボルドーのワイナリーで一年弱の研修をした。

ボルドーでは、ワインはもちろんですが、近所で売っている安いフランスパンがとても美味しくて、チーズも種類が豊富でした。

そんな経験があるからか、濃厚な赤ワインが好きです。いつかクラレットのようなブレンドを造りたいと思い、プチベルドとタナを植えました。ボルドーと同じようなワインにしたいわけではなく、よいブドウを自分たちで栽培して、塩尻ならでは、ドメーヌ・スリエならではのクラレットをいつか造りたいです。

    

DOMAINE SOURIRE
ドメーヌ・スリエ
https://www.domaine-sourire.jp/

    


取材: 2025年3月13日 文責:新居直明
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